ドルや株の代替として、金への資金流入が続く。2026年も史上最高値を更新。投資先としての魅力が高まるばかりだ。世界的な金買いが加速した背景にはインフレやドルの信認低下、地政学リスクなどがある。中央銀行やインド・中国の個人投資家、欧米機関まで買い手が拡大。金の価格が高騰し続ける理由を歴史とともに解説する。(ダイヤモンドZAi編集部)
史上最高値更新が続く!
需要が増え続けている安全資産の「金」!
金(ゴールド)への世界的な投資マネーの流入が止まらない。金価格(ドル建)は2024年に27%上昇、2025年は勢いがさらに加速し、67%の上昇となった。
金価格は過去20年で10倍、50年で100倍超に。それだけ通貨の価値が下がったということでもある。金価格が上昇する流れはまだまだ続きそうであり、日本でも金投資ブームが到来している。
金に投資すべき理由として、まず意識したいのが、日本でも進行しているインフレへの備えだ。金と株はインフレに強い資産の双璧。実際、1971年以降のインフレ時の米国株と金の上昇率を比較すると、いずれもインフレ率を上回る上昇率だった。ただし、5%以上の高インフレ時では、米国株が0・8%に対し金は18・8%と大差で上回っていた。このようにインフレ対策商品として、金には強い実績があるのだ。
過去の高インフレ時に、金は株よりも大きく上昇!
根本にあるのは「ドル」の信用低下
そもそも1971年にニクソンショックでドルが金本位制を廃止して以来、ドルの価値低下=金の上昇の歴史だった。東西冷戦の終結以降の2000年代には金を売越していた各国の中央銀行が、最近は大幅に買越し。金の大口の買い手となっている。
金の長期上昇の契機となったのは2001年の米国同時多発テロだ。以降は“経済的有事”でも強みを発揮しており、株や金利逆相関の安全資産として価格が上昇している。
金価格が上昇している理由について、マーケット・ストラテジィ・インスティチュートの亀井幸一郎さんはこのように語る。
「根っこにある要因としてはそもそも通貨の問題があります。2000年代に入ってから金融危機に対応するため、FRB(連邦準備制度理事会)などの世界の中央銀行は、大規模な量的緩和策を繰り返してお札を刷りまくっています。その結果、通貨価値が低下。代替資産として、中央銀行が外貨準備高に占める金の割合を増やしているのです」
国際社会でのアメリカの地位低下という側面も加わり、“基軸通貨ドル”への信頼が揺らいできていたことが根本にあるという。実際、下図のデータを見るとそれがわかる。
リーマンショック後の2010年頃から、世界の中央銀行はそれまで売っていた金を買い始めている。さらに、楽天証券経済研究所コモディティアナリストの吉田哲さんはデータを次のように分析する。
「2010年以降、SNS普及の影響などもあり、世界は分断が深刻化しています。各地で政治的な混乱や紛争が増え、非常に不安定になっているのです」
その後、世界はコロナショックとなり、2020年にドル建て金価格は2000ドルを付けた。「金」の価格は2026年の今も上昇基調が続く。なぜこんなに強いのか。