3月は春闘が本格化する季節。賃上げのニュースをよく目にするが、そもそも賃金がどのように上がるのか理解していない人も多いだろう。生活を向上させるためには必須の知識。社会人2年目のザイゼンと一緒に、ベアや定昇、物価上昇の影響も含め、賃上げの仕組みから実質賃金が伸び悩む理由までを押さえよう。(ダイヤモンドZAi編集部)
「ベースアップ」に特に注目
全員の賃金を底上げする!
ザイゼン
社会人2年目。特技は囲碁。幼少期はプロ棋士を目指していた。囲碁の名人の夢は諦めたが、次
は「お金名人」を目指すことに。
藤代 宏一 先生
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト。2010年に内閣府経済財政分析担当へ出向し、経済財政白書の執筆を担当。23年より現職。
ザイゼン 春になると賃上げのニュースをよく目にします。
藤代 労働組合が企業側に賃上げの要求を行う「春闘」が始まりますから。ここ数年盛り上がっています。
ザイゼン 昨年の賃上げ率は5.52%なんですね。
藤代 高水準でした。でも、賃上げ率を見る時は「定昇」を除いた「ベア」の数字を見る必要があります。
ザイゼン その2つの単語、実はイマイチわかっていません……。
藤代 「定昇」は定期昇給を、「ベア」はベースアップを略した言葉です。定昇は伝統的な日本企業によくある制度で、年齢や勤続年数に応じて定期的に基本給が上がります。
ザイゼン 制度だから経済状況に関係なく毎年基本給が上がるのか。
藤代 その通り。一方でベアは全社員の基本給(ベース)を一律でアップさせることです。企業の業績や世の中のインフレ率によって金額が決まり、毎年必ずあるとは限りません。
ザイゼン ベアはその企業の賃金表が書き換えられるイメージですね。
藤代 話を戻すと、定昇は制度上の話であって、純粋な賃上げを意味するのはベアの方です。下図のポイント1を見てください。
ベアがないと、企業は棒グラフの青い部分の面積を毎年支払うわけです。65歳の社員が1人定年退職すると、23歳の新入社員が1人入ってきますから、この総人件費は基本的に毎年変わりません。
ザイゼン ベアがあると黄色い部分の面積が増え、総人件費が増えます。
藤代 一定の年齢を超えて定期昇給がなくなった人にとっても、ベアなら賃金がアップ。企業が賃上げの面でどれだけ社員に報いているかは、ベアを見なければ判断できません。