幸せなFIRE生活を送るための
「4つの資産」とは?
寺澤さんによれば、人生の幸福度を高めるには「4つの資産」が必要だという。
「お金」「時間」「友達」「健康」の4つだ。
大学生の時は「時間・友達・健康」があっても「お金」がない。会社員時代は「お金」はあっても「時間・友達(社外の交友)」が削られる。定年退職後は「お金・時間」があっても「健康・友達」を失いがちだ。
40代〜50代でのFIREは、この「お金・時間・友達・健康」の4つを同時にすべて揃えられる唯一のチャンス。しかし、「お金・時間・健康」はFIREによって手に入っても、「友達」だけは自分から意識的に動かない限り手に入らない。
| ライフステージ | お金 | 時間 | 友達 | 健康 |
|---|---|---|---|---|
| 大学生 | ||||
| 会社員 | ||||
| 定年退職後 | ||||
| 40代でFIRE |
|
この考えの中で生まれたのが、現在440名以上が所属する交流コミュニティ「FIREテラス」だ。
「FIREテラス」では、平日の昼間から会員同士で旅行に行ったり、飲み会、ボードゲーム、スポーツなどを楽しんだりしている。メンバーのうち約40%がすでにFIREを達成した人々で、残りの多くは「FIREできるくらいの資産はあるが、怖くて会社を辞められない」層だ。
「会社を辞めるのが怖い理由は、『お金がもつかどうかが心配』ではないんです。実際、FIREを達成した人たちは自分の資産をエクセルなどで何十回とシミュレーションしてから会社を辞めるわけです。コミュニティ内でも、お金を心配する会話は出ないですね」(寺澤さん)。
では何が怖いのだろうか。
FIRE生活は楽しいのか、寂しくないのか、友達ができるのか——。FIRE前の不安の多くは、お金ではなく人間関係の側にある。
「FIREコミュニティがその人間関係の受け皿になり得ると思っています。同じ価値観を持ち、平日昼間に気兼ねなく遊べる仲間ができたことで、僕のFIRE後の生活は一切の後悔もなく、毎日が本当に楽しくなりました」(寺澤さん)。
FIREの本質は「資産形成」ではなく
「幸福論」だと思う理由
FIREは「どうやってお金を増やすか」という資産形成論として捉えられがちだが、本質は「会社に頼らず、自分はどう生きたいか」「何をしているときが幸せか」を見つける幸福論である、と寺澤さんは語る。
そのうえで、FIREコミュニティの当事者たちの声から見えてくる「幸せなFIRE」に共通する事前準備がある。それは以下の点だ。
1. 収入の「仕組み」を作っておく
高配当株への切り替えでも、不動産の家賃収入でも、安定した副業でも構わない。会社を辞めてもお金が入ってくるインカムの手段を手元に持っておくこと——それがFIREの「FI」(Financial Independence)の本質であり、メンタル的な安心にもつながる。
2. FIRE後の「居場所」を退職前に作っておく
FIRE志望者は、退職前からコミュニティに参加し、FIRE後の遊び友達をあらかじめつくっていくとスムーズ。またFIREを決断する後押しにもなる。人間関係の再構築を退職後に一から始めるより、事前にFIRE民とつながりを持っておいたほうが、FIRE後の満足度が高い。
3. 「何もしない自由」より「やりたいこと」を描いておく
FIREをゴールにするのではなく、FIREをスタートラインと捉えられるかどうか。FIREの「RE」は「Retire Early」の意味だが、寺澤さんは「Restart」と解釈している。会社のために自分の時間と精神を削って働くことをやめ、自分のやりたいことに向かって新しい人生をスタートさせること。それがFIREだ、という。
「FIREする前に、すでにFIREした方々にたくさん話を聞き、実際の交友関係に触れてみてほしいです。FIRE後の人間関係の土台をあらかじめイメージしておくこと。数字(資金)の裏付けと、退職後の仲間づくり。この2つが揃って初めて、後悔のない『最高のFIRE生活』がスタートするのだと思います」
現在の寺澤氏は、1週間に4〜5日、コミュニティの仲間たちと過ごしている。「じゃあね、また明日」と別れて、翌日また合流する。コミュニティ内には旅行部、筋トレ部、麻雀部、ボードゲーム部、早押しクイズ部など多彩な部活動があり、先日は18名で仙台への旅行も楽しんだそうだ。資産については、S&P500のインデックス型投信を長期保有。追加投資はほとんどしていないが、FIREした後、株高の恩恵によりこの5年間で1.5倍ほどに増えたという。
「仲間内では、FIREをしてから後悔したという人がほぼいません。みんな、ハッピーです」
資金的にはもう会社を辞めても大丈夫な人、早期退職で迷っている人、さらに定年退職が近い人なども、人生のリスタートのときにはぜひ参考にしてほしい。
『FIRE後どう生きるか1&2&3』
本記事は2026年9月26日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。