「優待だけで暮らす」という意地を貫き、現金をほとんど使わない生活を続けてきた「優待名人」の桐谷広人さん。しかし、がんの発覚で「人生には限りがある」と実感。「もっとご馳走を食べ、温泉にも行けばよかった」と振り返る。大病を経て、仕事もお金も我慢しすぎない生き方へ――変わった金銭感覚と、それでも続けたい優待株投資への思いを聞いた。(ダイヤモンドZAi編集部、撮影=山本祐之)
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優待名人・桐谷さんに「2つのがん」が発覚!大腸がんはステージ3c、半年間の抗がん剤治療へ
いつまでも元気で暮らせると…
がんで実感した「人生の限り」

1949年広島県生まれ。プロ棋士八段。
高校卒業と同時に4級でプロ棋士養成所に入会。25歳でプロ棋士に。2007年に引退。生活のほぼすべてを株主優待で賄う株主優待投資家として2013年からブレイク。
──大病を経て、ご自身の金銭感覚に変化はありましたか?
2013年にバラエティ番組『月曜から夜ふかし』に初めて出ましてね。そこで「株主優待で生活してる」と言ったら、世間から「優待だけで生活できるわけない、嘘だ」とたくさん言われました。
それで意地でも優待だけで暮らしてやろうと。それ以降は、全然現金を使わない生活をしていました。
でも、こうして、がんになると、「意地を張らずに、もっと現金を使ってご馳走を食べたり、温泉にでも行ったりすればよかったな」って少し後悔しています。
元気だったし、自転車でビュンビュン飛ばして走っていましたから、自分に寿命があるなんて思っていなかった。ずっとこのまま元気で暮らせると思っていました……。

今回の病気で、人生には限りがあるんだなって分かったから、それはそれで勉強かなと思っています。
父の教え「貧乏こそ幸せ」が原点
大病を機に現金を使う生活へ
──今後は、現金を使って少しは贅沢する予定ですか?
私の父は「貧乏こそ幸せだ」という考え方の人でね。子供の時から実際に貧乏でした。父が生きている時に、よく父と論争しましてね。
「『お金か愛情か』でいったら愛情のほうが大切だけど、その他の条件が全部同じで『お金があるか貧乏か』なら、お金があるほうが幸せだ」と、私が主張したことがありました。
そうしたら、父は「その他の条件が一緒なら貧乏のほうが幸せに決まってる」と言う人でした。そうして、本当に貧乏暮らしをしていたんです。
そういう考えで育てられたからか、自分もプロ棋士になって結構収入があった時も、あまり贅沢をしようとは思いませんでした。
例えば、台所の家具でも、段ボールや優待でもらえる家具でなんとかしています。島忠で1万円くらいの家具がありますし、今後は、現金を使ってもいいかなって思いますね。大した贅沢ではありませんね(笑)。
今回の入院で、個室にお金を使ったのは第一歩です。