「潰れない」&「追い風を受けやすい」
銘柄をシンプルに購入

「潰れない会社の代表格は財閥系企業です。グループ内で仕事を融通し合ってますし、資産も豊富で倒産する可能性は限りなく低いです。もし財閥系の会社が倒産するときは日本が終わるときだから、その時はあきらめるしかないと割り切っています(笑)」

 そこで買ったのが、「三井住友フィナンシャルグループ」、「三井金属」、「三井E&S」、「三菱HCキャピタル」だ。いずれも2020年ごろの安値圏で購入。いずれも大きく値上がりしているが、特に三井金属と三井E&Sは株価が購入時から10倍以上になったため、昨年売却したという。

 三井金属は半導体・AI関連素材への需要が旺盛、三井E&Sは船舶用エンジンや港湾クレーンの需要、造船関連政策への期待が追い風となった。一般的に、国策やブームが到来すると、大型株ほど海外からもマネーが流入しやすいことと、財閥系のような名門企業ほど国策の追い風を享受しやすいことがプラスに働いたと考えられる。

 同様の観点から選んだのが「INPEX」だ。石油資源の確保を国策として担う同社だが、「黄金株」と呼ばれる特殊な1株を政府が保有している。黄金株とは、買収関連などの重要事項に関する株主総会の決議において、「拒否権」を行使できる権利を持つ株のこと。この黄金株は上場している企業の中で唯一、INPEXのみが発行しているもの。裏を返せば「国にとって不可欠な会社である」ことの証明とも言える。

「INPEXは、日本のエネルギー安定供給を支える重要な石油・天然ガス権益を保有しています。政府が黄金株を保有するほど、国策上でも重要な会社なので、倒産する可能性は限りなく低い。国がお墨付きを与えている形なので、いずれ株価も上がると考えました。株価が1000円以下の時に購入しましたが、狙いどおり今は4000円台となり、含み益が膨らんでいます」

 ロシアとウクライナ紛争という予想外の地政学リスクの高まりがきっかけだが、エネルギーが重要になるほど、国策エネルギー会社であるINPEXの企業価値が高まり、マネーが集まりやすくなったことが勝因だと分析できる。

 ほかにも典型的な国策企業かつ大型株として買ったのが、元は国有の「専売公社」だったJTだ。

「筆頭株主が財務大臣で、“いざとなれば政府が助ける会社”。しかも増配が続いており、配当利回りも高水準なのもポイントです」

 JTを買った理由は他にもある。

「海外出張時に立ち寄ったとある地域で、現地の人たちが雨宿りをしながらたばこを次々と吸っている光景が目に入ったんです。調べてみると、JTが工場を次々と建設していました。日本では縮小しているイメージがあるたばこ産業ですが、海外では大きな需要があり、新しい工場を作れば業績は上がると確信しました」

「暑いとニワトリもバテる」と聞いて
鶏卵会社の株を買ったら大成功!

「潰れない国策の大企業の株を買う」の戦略は、相場の追い風に確実に乗ることを狙った手法の1つ。そして、ゆーきさんが短期間で大きな成果につながった銘柄選びの2つ目のポイントが、JTを買うきっかけとなった、「日常の観察で得た情報を投資に直結させる」ことだ。

「昨年、お米屋さんとの会話の中で“今年は作況が悪く、コメが値上がりする”と気づいたんです。そこで、春ごろにコメの卸売会社の木徳神糧を大量に買いました。その後、夏から秋にかけて同銘柄は狙い通りに3〜4倍に上昇。同様に、昨年は“高温でニワトリの産卵量が減る”という話を聞いたので鶏卵会社のホクリヨウを買いました。狙い通りにタマゴ不足でタマゴの価格は高騰し、同社の株価も上昇したんです」

木徳神糧日足チャート
チャート提供:マネックス証券
拡大画像表示
ホクリョウ日足チャート
チャート提供:マネックス証券
拡大画像表示

 日々通うスーパーマーケットでの気づきや日々のニュースを見て、どんな会社が儲かるのかを考えることが、ゆーきさん流の投資先の探し方だ。

「明日、明後日上がる株は分かりません。なので、3カ月後、半年後、1年後に上がる株を見つけられるように意識して物事を観察しています」

 そのように観察を大事にしているので、チャート分析に関しては「ファンダメンタルズ(企業の実力や業績)の勘が鈍る」という理由で、いっさい行わないことを投資のルールとしている。

 40歳で1000万円を元手に7年余りで2億円まで資産を爆増させた投資手法。大きくリスクを取る投資でも、難解な企業分析でもなく、「潰れない大型の優良企業を長く持つ」という拍子抜けするほどシンプルな銘柄選び術と、「生活の中から投資のヒントを拾い続ける」という、アンテナの鋭さだった。

本記事は2026年9月5日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。