西野さんが目を付けたのは観光地!
SNSでの集客がアルゴリズムの変化で困難に

──いま、“勝てる場所”として注目しているのはどこですか?

 僕が注目しているのは観光ですね。少し前までは、コンテンツを作ってSNSで広めれば、それまで人がいなかった場所にも人を呼べました。でも、いまはそれが難しくなっていると感じます。

 SNSでは、利用者の関心に合わせた「おススメ」が表示されますよね。興味がある人には同じ情報が何度も届く一方、それ以外の人にはなかなか届かない。広告を出しているのに、「見ていない」と言われることも増えました。

 オンラインでは、知らなかったものに偶然出会う機会が減っている。その点、駅のポスターなど、現実の空間にはまだ偶然の出会いがあります。だから、人を呼ぶためにコンテンツを作るより、人が集まっている場所にコンテンツを届けたい。

──その条件に合うのが観光地だと。

 ええ。これから伸びる市場に張るのは、ビジネスの基本です。日本の人口が減っていくなかで、海外からのお客さんを迎える観光地には、可能性があると思っています。

 広告費をかけて人を呼び続けるより、すでに人の流れがある土地や場所を押さえる。そこで何ができるかを考えたいですね。実際、河口湖の美術館でも、経営の立て直しに関わっています。これも、地元の皆さんとのつながりがあってこそです。

新しい企画を始める前に、おカネが残る土台を整える
西野さんが考える「AIでも変わらないモノ」とは?

──美術館では、まず何から手をつけたのでしょうか?

 新しいコンテンツを作る前に、日々の運営を見直しました。人の配置を整理したり、チケットの販売に券売機を導入したり。そうした改善を重ねることで、毎年出ていた赤字を解消できたんです。

 大々的な宣伝で、来場者を急増させたわけではありません。まず、出ていくおカネを見直した。スタッフにも「全員がPL(損益計算書)を読めるようになりましょう」と伝えたんです。どんなに面白いものを作っても、資金が尽きれば続けられません。まずは事業が続く土台を整える。そのうえで、新しいコンテンツに投資する。この順番が大事です。

──地方には、そうした見直しで生かせる事業が、まだありますか。

 たくさんあると思います。すでに人が来ていて、長い歴史もある。そこに運営や経営の知識を持ち込むことで、できることはあるはずです。

AI時代こそ、泥臭く!
写真=圷 邦信

 僕自身、そうした場所には今のうちに入っておきたいと思っています。いまは後継者を探している人もいますが、引き継ぐ相手が決まれば、簡単には手放さないでしょう。関係を築きながら、事業を受け継げる好機を逃さないようにしたい。

──AIによって世界が大きく変わる中でも、人や土地とのつながりは大きな強みになりそうですね。

 そう思います。土地や、そこに通って積み重ねた時間、人との深い関係は、AIでは簡単に作れません。AIを使うにしても、そうしたものと組み合わせるから、自分たちならではの価値になる。だから、ズブズブに“癒着”してください(笑)。

【西野流】成功を支える3つのルール!

西野流、成功を支える3つのルール
写真=圷 邦信
ルール(1)競争しないで有利な場所を押さえる
“勝てる場所”を先に取る!

  すでに人が集まる場所なら、集客の負担を抑えられる。その分を商品やサービスの充実に回せる。

ルール(2)時間をかけて人とのつながりを資産にする
“癒着”は最強の参入障壁!

 時間をかけて築いた関係から生まれる協力や機会は強い。競合やAIには、簡単にまねできない。

ルール(3)稼いだおカネを次の挑戦と成長に使う
“おカネは回して”大きくする!

 おカネが残る仕組みを整え、再び挑戦に投じる。循環させて、できることの規模を広げていく。

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