「ダイヤモンドZAi」2026年12月号「インタビュー連載 あの人に聞きたい! おカネの本音」を基に再編集。データはすべて雑誌掲載時のもの。

西野さんがブロードウェイで、おカネ以上に大変だったことは?
「戦わずに勝つ」には“勝てる場所”を押さえる!

──ブロードウェイの舞台の共同プロデュースは、資金面でも大きな挑戦だったのではありませんか?

 おカネ以上に大変だったのは、“ムラ”に入ることでした。ブロードウェイは、興行主やプロデューサーたちのつながりが強い、小さな“ムラ社会”なんです。

 そこで、現地に深い人脈を持つアドバイザーをチームに迎え、「どこにおカネを出せば、ブロードウェイの人たちの役に立てるのか」を教えてもらいました。その一つが、次世代のミュージカルスターを育てる高校生の演劇アワードへの協賛です。

芸人・童話作家・製作総指揮・プロデューサーの西野亮廣さん
写真=圷 邦信

 自分たちの宣伝におカネを使うだけでは、仲間にはなれない。その世界の将来に貢献することで、少しずつ信頼してもらえるんです。そうして関係を築くなかで、デンゼル・ワシントンが主演する舞台「オセロ」にも、共同プロデューサーとして参加することができました。

 夢をかなえるには、おカネも必要ですが、人や土地とのつながりも欠かせません。あえて悪い言葉を使うなら、“癒着”が大切なんです。

──地域や業界のキーパーソンと信頼関係を築くということですね。

 そうです。ただ、その前に大切なのが、どの場所を選ぶかです。戦略や歴史が好きだった父から教わった「戦わずに勝つ」という考え方が僕の原点にあります。まずは自分が有利に商売できる“勝てる場所”を押さえることが大事です。

 例えば、団子屋を始めるとします。おいしい団子を作るのは大切ですが、お客さんが来なければ商売になりません。参拝客が絶えない神社の参道に店を出せれば、集客の負担を抑えて、団子作りに力を注げます。

──その場所を押さえるうえでも、地元との“癒着”が効いてくる。

 いきなり外から来て「ここで商売をさせてください」と言っても、難しいですよね。何度も通い、地元のお店でおカネを使い、一緒にお酒を飲む。そうやって時間をかけて、仲間として受け入れてもらうことが大切なんです。