東証による市場改革や新NISA開始などを追い風に、2024年頃から株主優待の新設が急増。中小企業だけでなく、トヨタ自動車や三井住友フィナンシャルグループなどの大企業まで加わり、空前の「優待新設ブーム」が巻き起こっている。ただし、中には「すぐに優待廃止」や「優待コストによる業績圧迫」といったリスクがある銘柄も。ブームの背景と今後の動向に加え、優待が長続きする銘柄の見分け方をプロに聞いた。(上尾歩、ダイヤモンドZAi編集部)
※株価や時価総額は2026年6月30日時点。企業名の後の( )内は証券コード。
「東証改革」と「新NISA」が火付け役
優待は廃止傾向から一転、新設ブームに!
優待新設ブームが起きる前までは、機関投資家の批判により、むしろ「廃止」の方向に傾いていた。もらえる優待品は持ち株数に比例しない場合がほとんどのため「株主平等の原則に反する」、「優待品をもらってもメリットがない」、「管理コストがかかる」などの理由で、株主還元を配当に一本化する動きが相次いでいたのだ。
そんな中、2024年頃から優待を新設する企業が急増。以降は新設数が廃止数を上回る状況が続いている。優待新設・廃止動向の風向きの変化について、ザイ・優待アナリストの小林大純さんは大きく2つの要因があると語る。
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「まず、2022年4月から始まった東証の市場再編と上場維持基準の厳格化が挙げられます。流通株式時価総額や流通株式比率などの基準に満たない企業は、2024年度の経過措置、2025年度の改善期間、監理銘柄・整理銘柄への指定を経て上場廃止となります。未達の中小企業が上場維持基準を達成するために、優待新設を飛び道具的に使う動きが広まった可能性が考えられます。
次に、多くの個人投資家を市場に参加させた新NISA(2024年1月から)です。個人投資家の存在感が高まったことで、企業が個人株主を重視する姿勢に転換。加えて、株式持ち合いの解消などが進む中、経営陣の味方となる“安定株主”を企業が求めていたという事情も後押しになったはずです」(小林さん)
複数のピースがうまくはまり、2年以上も続くブームが生まれた。現在、優待を導入している企業数は1682銘柄に達し、上場企業全体の約4割にも上る。