銀行が一番の利上げ恩恵株
一方で設備投資が多い業種には注意
――では、金利上昇がプラスになる業種を教えてください。
鈴木 直接的なプラスの影響があるのは銀行です。企業にお金を貸す時に使われる貸出金利と、人々にお金を預けてもらう時に使われる預金金利の差が、銀行の利ざやとなります。長期金利の上昇を受けて貸出金利は上がりやすい一方で、預金金利はそこまで上がりません。そのため、金利上昇は利ざや拡大となり、銀行の利益が増え、銀行株が買われやすくなります。
ただし、銀行は国債を多く保有して運用しています。金利が上がると債券価格は下落しますので、銀行が保有している国債の評価損が膨らむマイナス面も。一般的には利ざや拡大のメリットの方が大きいですが、地銀には国債の保有比率が高い銀行が多いので、注意が必要です。
――銀行以外の業種では何がありますか?
鈴木 保険もその一つ。保険会社は顧客から払い込まれた保険料を30年や40年といった長期国債で運用しています。高い利回りの国債の新規購入や再投資によって利子収入の増加が見込まれることに。業績改善期待から株価が上がりやすいです。他には、証券会社にも一定程度プラスの影響が考えられます。証券会社も日銀に当座預金を開設しているため、利子収入が増加します。
銀行や保険には追い風、インフラ企業には逆風!
● 金利上昇のプラス/マイナス影響が大きい業種
| 金利上昇の 影響 |
業種 | 理由 |
|---|---|---|
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プ ラ ス
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銀行 | 貸出金利と預金金利の利ざやが拡大 |
| 保険 | 国債の利子収入がアップ | |
| 証券 | 日銀当座預金の付利収入や、顧客資金の運用収益増加 | |
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マ イ ナ ス
|
不動産・REIT | 借入の利払い負担が増加、住宅需要が減少 |
| 住宅メーカー | 住宅需要が減少 | |
| インフラ (電力・通信・鉄道など) | 借入の利払い負担が増加 | |
| 赤字の新興企業 | 手元資金の豊富なバリュー株が選好され、相対的に魅力が低下 |
――逆に、金利上昇がマイナスになる業種は何がありますか?
鈴木 前述のように、銀行からの借入が多い業種です。その代表例が不動産やREIT(上場不動産投信)。土地を買ったり建物を作ったりするには多額の資金が必要ですから、銀行からの借入は他の業種よりも多く、利払いの負担が増加します。ただし、マイナスの影響だけではなく、プラスの側面も。経済成長に伴う金利上昇であれば、地価や物件価格も上昇しますから、マイナス影響はある程度相殺できます。
――不動産やREIT以外の業種では?
鈴木 住宅メーカーにもマイナスです。政策金利が上昇すると住宅ローンの変動金利が、長期金利が上昇すると住宅ローンの固定金利が上がります。住宅ローン金利が上がると、住宅を建てたいという需要が減り、業績が伸び悩む原因に。また、電力・通信・鉄道などのインフラ関連も借入が比較的多く、マイナスの影響を受ける業種です。電力は原子力発電所の安全対策工事、通信は基地局の整備、鉄道は線路や駅の整備など、さまざまな設備投資が恒常的に必要で、借入額は簡単に減らせません。
こうした金利上昇のマイナス影響が大きい企業は、決算説明資料でその影響額を説明している場合が多くあります。利払いコストの増加を本業の利益の増加で賄えているか、確認しましょう。
金利上昇で将来の現金の価値が減少
赤字の新興企業にも逆風に
鈴木 その他に、まだ黒字化しておらず、足元の利益は小さいものの、将来の大きな成長を期待されている新興企業やグロース株にも金利上昇は逆風になりやすいです。
――赤字ということは、どこかで借金をしているということで、利払い負担が増えるからですか。
鈴木 その側面は当然あります。加えて、「将来は〇億円の利益が出ているかもしれない」という新興企業を買う理由のハードルが高くなることもあります。
投資家は「10年後に現在の何倍もの利益が出ている」と期待して新興企業の株を買うわけです。しかし、金利が上がるほど、「現在の1億円」と「10年後の1億円」では、前者の方の価値が高くなります。金利が3%であれば、現在の1億円をノーリスクで運用し、10年後には1億3000万円くらいに増やすことができるためです。
その結果、金利上昇局面では、例えば「将来は10億円の利益が出そう」と見込む新興企業への投資は、「将来13億円以上の利益が出そう」と見込めないと正当化されづらくなります。つまり、新興企業への投資のハードルが上がるのです。
一方で、現時点ですでに潤沢な現金を持つバリュー株は選好されやすくなります。もともと借入が少ないですし、利子収入の増加も期待できるわけです。
日米ともに利上げの時期が焦点となっている今、この先の金利動向とその影響にも着目して銘柄選びを行ってみましょう。
本記事は2026年8月11日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。