都心の「シェアハウス」に
住んでいる人はどんな人? 

 3軒ほど内見をして、都心で駅からほど近い50人規模のシェアハウスに決めた大江さん。シャワーも各部屋についているため、「ホテルのようなイメージ」で暮らしているという。気になる住人の交流については、都心の立地やシェアハウスにしては家賃が高めの物件だからか、思ったほど若い世代は多くはなく、アラフォー世代が多い。空港からアクセスも良いためか、外国人も多い。男女比は若干、女性が多めのようだ。物件によっては女性限定のものもある。

 入居者はみんな生活リズムが異なるため、実際によく顔を合わせ、ちょっとしたあいさつを交わすのは10人程度。想像していたほど濃密な共同生活ではなく、ほどよい距離感が保たれているそうだ。またキッチンなどの共用部は毎日、専門業者が清掃に入り、ダスターなどはきれいなものが大量に用意され、清掃に関するストレスはほとんどない。

 もちろん、入居前はどんな人が住んでいるかは不明。「最初は心配だったので、すぐに引っ越せるように契約期間は最短の6カ月にしました」とのこと。

 しかし、近い世代の働く女性もいて、そんな心配も杞憂に終わった。そして実感したのが「ゆるいつながり」がもたらす安心感だった。ちょくちょく顔を合わせることで知り合いもできた。

「ちょっとしたお土産を交換したり、アイロンを貸し借りしたり。あとは体調が悪いときに近所のコンビニでついで買いを頼めるような感じで、昔の長屋っぽい雰囲気なんです。私にはシェアハウスは合っていると思いました」(大江さん)

 仕事柄、原稿書きの日などは1日中、誰ともしゃべらないこともある。しかし、「誰かの気配がある」環境は、おひとり様にとって大きな意味を持つ。「おかえり」「ただいま」と言い合うだけでも孤独が和らぎ、メンタル向上に効果があったと大江さんは語る。昔の長屋のような「ゆるいつながり」が、孤立を防ぐ心理的な安全網になり得るとわかった。

シニアのおひとり様に「シェアハウス」はアリ
物件を決めるポイントは?

 大江さんは実家の都合もあり、この秋にはシェアハウスを退去する予定だが、「自分に共同生活が向いていることがわかり、本当に良い経験になった」と振り返る。

 結論を言えば、シニアのおひとり様にとって、シェアハウスは十分に検討する価値のある選択肢だ。そのためには、(1)住みたいエリア、(2)希望する部屋のタイプ(「個室」か、料金重視の「相部屋」か)(3)共用部分の充実度、(4)毎月の総予算の上限、(5)生活スタイル、(6)入居者コミュニティや年齢層、などが主なチェックポイントとなる。自分が譲れないところをピックアップするのが良さそうだ。

「ついのすみか」を今すぐ決めず、
どんな暮らしをしたいか逆算して考える

 老後の住まいを考えるとき、「最期まで住める家を決めなければ」と考える必要はない。寿命がいつまでかは誰にもわからないし、70代、80代になると必要な住環境は変わってくる。駅近のマンションが適している時期もあれば、介護サービスが充実した住まいが必要になる時期もある。

 だからこそ、まずは「家をどうするか」ではなく、「どんな老後を送りたいか」から逆算することである。そのライフスタイルを考えてから、持ち家をどうするか考えていくのがいいだろう。身体もアタマも元気に動くうちに準備したい。

本記事は2026年8月22日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。