パートナーとの死別や離別によって、突然「おひとり様」として生きることになった──。そんなとき、直面するのが住まいの問題だ。広い自宅にそのまま住むのか、将来を見据えて利便性や介護まで考えて引っ越しをするのか。この課題の解決策のひとつとして「シェアハウス」という選択肢がある。確定拠出年金アナリストの大江加代さんに、現在も居住中の「シェアハウス」についてリアルな事情を聞いた。大江さんの体験から、老後の住まいについて考えてみたい。(木村香代、ダイヤモンドZAi編集部)
突然、1人になったときの
住まいはどうしたらいいのか
パートナーとの死別や離別によって、突然「おひとり様」として生きていくことになったら、住まいをどうするのが正解なのか。
シニア世代にとって住まいは、単なる生活の場ではない。固定資産税や修繕費などの維持費がかかり、住み替えれば家賃や引っ越し費用も必要になる。「どこに住むか」は、老後資金の使い方にも直結する重要な問題である。
2024年、夫で経済コラムニストの大江英樹さんが亡くなり、「おひとり様」となった大江さんが選んだのは、「シェアハウスのお試し入居」だった。
若者向けというイメージが強いシェアハウスだが、物件によって部屋のタイプ、住む年齢層などまちまち。大江さんが実際に暮らしてみた物件は、おひとり様にとって「ゆるい人とのつながり」がある心地よい住まいだったという。
広い自宅の維持に迷いが……
「持ち家だから安心」とは限らない
それまで住居は都心から1時間半、駅からも徒歩20分はかかる庭付きの一軒家。大江さんは「おひとり様」になって、間取りが広すぎることや、庭の手入れを含めた維持費、利便性の問題などから「この家を1人で維持できるのだろうか」と感じるようになった。
持ち家には「家賃がかからない」という大きなメリットがある。しかし、固定資産税、火災保険、修繕費、光熱費など、住み続ける限り一定のコストは発生する。さらに、年齢を重ねると、階段の上り下りや庭の手入れ、駅や病院までの距離なども負担になってくる。さらに大江さん自身は、再婚してから英樹さんが住んでいたこの家に「移り住んだ」ので、現在の自宅は2人で建てた家というわけではない。
一方、都心のマンション価格は高く、自宅を売却するなどして新しい住まいを購入すれば、仲介手数料や引っ越し費用なども必要になる。
「このまま今の家に住み続けていては、次の暮らし方を客観的に判断できない」
そう考えた大江さんは、まず家は保有したままで、そこから離れて暮らしてみることにした。
いきなり売却・購入はリスク大!
「仮住まい」で新しい暮らしを試す
そこで浮上したのが「シェアハウス」という選択肢だった。子供のいない大江さんは、将来的に高齢者施設などへ入る可能性も踏まえ、「家族以外に誰とも一緒に住んだ経験がない自分は共同生活ができるのか」「1人暮らしより、人の気配があるほうが安心なのではないか」といったことを事前に確かめたいと考えた。
ここで重要なのは、最初から「ついのすみか」を決めなかったことだ。不動産は購入してしまうとリスクが高い。だからこそ、シニアの住まい選びでは「まず借りて試す」という発想が有効になる。
大江さんはネットで物件を調べ、3軒を見学。最終的に、次の条件を満たす物件への入居を決めた。
● 水回りが個室についていること(プライバシーを確保)
● 共用キッチンが明るく整備されていること(料理好きの生活に合う)
● 無理なく暮らせる家賃であること(老後資金への影響を抑える)
家賃は水道代などの光熱費、Wi-Fi利用料など込みで同じ地域の家具付きマンションと同程度の10万円台半ばだそうだ。こうして現在の一戸建てはそのままに、昨年夏に新たな生活をスタートさせた。