米国の長期金利上昇による影響で、日米ともに深い調整局面へ。円安と原油高によるインフレ懸念が重なり、市場は停滞。米国でも、巨大テック企業の社債が増加。米国の長期国債から、資金が移動している。AIブームはどこまで続くのか。プロは「2026年秋にかけて調整が深まり、回復は年末以降となる可能性が高い」と予測する。(ダイヤモンドZAi編集部)
プロによる現状の分析!
信用買い残の消化不良で日経平均は伸びきれず
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。「マザーズ信用評価損益率」などこれまでにない独自の投資指標を開発。
日経平均株価は、2026年7月に大きく売られた後に切り返し、8月17日には一時7万円近くまで上昇しました。しかし、中東情勢の混迷の中での原油高や、AI・半導体株の下落を受けて再び失速。その後は6万5000円前後でもみ合いが続いています。
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日経平均の停滞の要因の一つは金利上昇。AI関連株の下落をもたらしています。加えて、6月末にかけての高値で買いを入れた投資家の信用買い残が積み上がっており、上値を抑えています。7月は売買代金が毎日10兆〜12兆円程度ありましたが、8月末は7兆円程度まで減ってきている状況。信用買い残を消化するまでに長い時間がかかっています。
7月末には日米協調の為替介入がありました。ただ、ドル円は150円を割ることもなく、その効果は一時的に。9月8日時点では154円近くで推移しています。再び円安が進行し、もし原油高も加わるようなことになればインフレの第2波がくるため要警戒。そうなると日銀は追加利上げに踏み切りますから、日本株にはマイナスです。
今後の注目点&予測
政府と企業の資金争奪戦! 金利上昇がAI株の重し
日米ともにAI関連株は11月にかけて深く調整するとみています。その影響で日経平均も調整へ。5万8000円程度まで下がる可能性もあり、回復は年末になりそうです。
AI関連株の調整の理由は、米国での長期金利の上昇が落ち着きそうにないことです。インフレや財政悪化懸念に加えて、巨大テック企業が社債を発行しすぎている点が背景にあります。アルファベットやメタなど巨大テック企業はもともと手元資金が潤沢でしたが、AI投資が始まり資金が枯渇。10年や30年などの長期債を中心に発行し、ハイペースで資金調達しています。
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こうした社債は米国の長期国債よりも利回りが高い面もあり、国債から資金が移動。米国30年債は売られ、利回りが上昇しています(上図参照)。長期金利の上昇は、市場の株式への評価に下押し圧力をもたらし、高PERのAI関連株は苦しい展開に。日本株にも逆風となるでしょう。一方で、資金が潤沢なバリュー株は相対的に有利な展開となります。
もし巨大テック企業が社債の発行ペースを落とすと、市場は「AIブームに陰り」という見方をしますから、これも株式相場には悪影響。好転の兆しが見えづらい状況です。
ただ、米国財務省は、9月上旬から満期10年超の長期国債の買い入れ消却を行う予定です。買い入れの規模は現状小さく、金利上昇に歯止めがかかるか不透明ですが、注目です。
※見通しは2026年9月8日時点。