近年の相場を牽引し続けてきたAI・半導体株だが、2026年6月下旬から調整が続いている。持たざるリスクが叫ばれる一方で、過熱感を懸念する声も絶えない。果たして、億超えの資産を築いた凄腕投資家たちは、足元のAI・半導体相場でどのように資産をコントロールしているのか? 今回は桶井道(おけいどん)さん、たぱぞうさん、ちょる子さんの“カリスマ億り人”3名を迎え、座談会を開催。3者3様のリアルなAI・半導体株の保有比率と、最新の投資戦略を語り合ってもらった。(朝日希新、ダイヤモンドZAi編集部)
AI・半導体関連株の保有比率は?
ちょる子さんはほとんど売却!
編集部 早速ですが、みなさんが現在、話題のAI・半導体株をどれくらい保有されているのか、ぶっちゃけトークで伺えますか?
桶井道 AI・半導体関連は裾野が広く、どこまで含めるか難しいところですが、約40銘柄を保有しています。額にすると、運用資産2億4000万円の3分の1程度、7400万円です。この1〜2年、「AI・半導体株しか勝たん」という状況で、持っている人と持っていない人とで、お金の増え方に明らかな差が出ていると感じます。まさに「持たざるリスク」ですよ。 私は基本的に長期保有のスタンスですから、この成長の波にはじっくり乗っていきたいです。
ちょる子 私は金融資産約4億円のうち1.7億円は高配当株で長期保有していて、その中に電力系のAI・半導体関連が1銘柄あります。残りの2.3億円は機動的にトレードするための資金ですが、実は今、ほぼすべて現金にしています。
桶井道 それはかなりの現金比率ですね。調整を待っているんですか?
ちょる子 はい。AI・半導体株に割高感を感じているわけではないのですが、年後半に相場全体が調整する可能性が高いとみています。そのため、相場全体が崩れると煽りを受けやすい半導体株を中心に、いったん売りました。
たぱぞう ちょる子さんの投資スタイルはスイングトレード(短・中期トレード)だから、すでに守り目線に入って、機動的に立ち回られているわけですね。私の場合、株はETFメインの投資家なので機動力はちょっとゆるいんですけど、金融資産9.5億の4〜4.5割くらいがAI・半導体関連ですね。内訳は、ハイパースケーラーなどのプラットフォーマーが25〜30%、半導体ハードウェア(設計・製造)が10〜12%、データセンターや周辺インフラが3〜5%という感じです。
桶井道 たぱぞうさんも半分近くAI・半導体関連なんですね。含み益はかなり大きくなっていると思いますが、売らないんですか?
たぱぞう 含み益が大きすぎて動かせないという側面もあります。資産のほとんどを法人で管理しているので、下手に利益を確定させると法人税が膨らんでしまうという、個人的な事情です。だからドッシリ持ったままです。一方で、資産の1割くらいはアクティブに動かすお金としています。今はそれらを焦らず外貨建てMMF(普通預金より利回りが高い、外貨建ての安全性の高い債券で運用する投資信託)などに入れて高い金利を取っている状態です。
相場を読むトレード派と
ガチホ派で戦略に違いあり
編集部 直近の保有比率に違いが出ましたが、そもそもAI・半導体株のテーマとしての将来性については、みなさん強気の見方なのでしょうか? それとも警戒感をお持ちですか?
たぱぞう エヌビディアをはじめ、今は米国のハイテク株の決算が非常に強いですよね。前年比で2割を超えるような利益成長が続いています。リーマンショック以降、最大級の強さです。本来、高い金利はハイテク株の重しになりますが、成長の勢いが続いているうちは、株価も上がっていくと考えています。
ただ、需要が一巡したり成長が鈍化したりするフェーズに入った時、市場は高金利の重さに耐えきれなくなってきます。すると相場の景色はガラッと変わって、どこかで景気後退が来るのではないでしょうか。「どこまで波に乗るか」の見極めは、とても重要だと思います。
ちょる子 AI・半導体株に代わるほど勢いのあるテーマはないですが、金利の話はすごくセンシティブですよね。
私はチャートを重視して戦略を練るタイプで、相場の先行指標として米国のフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)に注目しています。いったん半導体株を売ったのも、6月下旬のSOX指数の日足チャートで強力な天井シグナルが出たからです。強力な天井シグナルというのは、市場の迷いを示す「十字線」に近い足が出現、その後「窓を開けて下落」し、「2日連続で陰線」がつくというもの。これは買いの勢いが落ち着き、売り圧力が強まったサインといえます。
実際、6月下旬から米国株市場につられる形で日本株市場も調整しています。FRB(連邦準備制度理事会=米国の中央銀行に相当)の利上げに対する警戒感などもあり、秋口まで調整が続くとみています。
ただ、私にとってはそのタイミングこそ絶好の押し目。相変わらずAI・半導体の需要は強いので、10〜11月の決算で好業績が確認されれば、株価は再び上昇に向かうはずです。手元に確保しておいた現金を、その決算期に向けて投入していく予定です。
桶井道 お二人ともマクロ環境を冷静に見られていてすごい! ただ、私には相場を読む芸当ができないんですよ(笑)。それに、投資で“労働”したくない。親の介護があり、取引画面に張り付くような、時間をかけた投資は難しいという事情もあります。
だから、相場は読まず、息の長いテーマから優良銘柄を見つけ出してガチホする投資スタイルです。まず業界全体の「市場規模が成長しているか」を確認し、成長する業界のナンバーワン企業に狙いを定めます。そして、ビジネス内容や業績を分析。中期経営計画で「EPS(1株当たり利益)の中長期的な伸び」を見込めるかもチェックします。その上で、PER(株価収益率)などから割安感・適正感があるかを精査して購入。あとは放置です。シリコンサイクル(半導体市場特有の需給の循環)の谷や景気後退はいずれ来るかもしれませんが、今までもそうした逆境を乗り越え、株価は上がってきたわけですから。
「下がった時にどうするか」を
事前に決めておく!
ちょる子 最初に市場の成長性や企業の割安度などをしっかり見極めておけば、あとはほったらかしでいいわけですね。桶井道さんの「投資で労働するのは嫌」という言葉通り、自分の時間や生活を大切にしながら資産を増やせるので、人生の満足度が高い投資法だと思います!
たぱぞう 世の中の大きな流れを捉えてしかるべき場所にお金を置いておけば、長期で見たら資産は増えますよね。ただ、相場の下落が来た時に「どう動くか」を事前に決めておくことは大切です。桶井道さんは下落にどう備えていますか?
桶井道 私が取っているのは「コア&サテライト戦略」です。土台(コア)を比較的値動きが安定している高配当株や増配株で固め、攻め(サテライト)でAI・半導体株を載せる。この戦略なら、半導体株が調整した時でも、「配当金があるから大丈夫!」とメンタルを保てます。
ちなみに、コア&サテライト戦略は、保有株全体ではなく1銘柄単位でも似たようなことが実践できます。「コアとサテライトを兼ね備えているような銘柄」を選べばよいのです。たとえば、食品というディフェンシブな本業(コア)を持ちながら、半導体の絶縁材料(サテライト)で世界シェア95%以上を握る味の素が挙げられます。こうした「安定(コア)と成長(サテライト)」を併せ持つ企業なら比較的、下落に強く、成長の波にも乗ることができますよ。