急騰中には売らない、
崩れ始めたら狙う
空売りで最も危険なのは、「さすがに高すぎる」という感覚だけで、上昇中の株をショート(空売り)してしまうこと。強い相場では、割高に見えても買いが買いを呼び、ショート勢の損切りによる買い戻しがさらに上昇を加速させる。
実際、Bigheadさんもキオクシアの下落を早めに見込んでショートしたところ、急騰してしまい約1000万円損切りしたことがある。その経験から、急上昇中はポジションを小さくし、「大陰線が出そうな形」になるまで待つようになった。
デイトレの時は5分足チャートを使っているが、崩れそうなチャートには特徴があるという。
「崩れる時は、高値圏で激しいボラティリティ(値幅)が発生し、丸みを帯びて少しずつ崩れ始めます。小さく売って様子を見ながら、大陰線を引きそうなところで一気にショートを入れます。もう一度上に抜けたら、すぐ損切りします」
先に崩れた銘柄を合図にする
「後追いショート」
そしてもう一つの特徴は、1銘柄のチャートだけを見ないところにある。値動きが連動しやすい銘柄を3社程度ずつ並べ、同じテーマへの資金の流出入を見極める。Bigheadさんがグルーピングした半導体関連株は以下の通りだ。
● 電線・光関連 : フジクラ、古河電気工業、住友電気工業
● 非鉄金属 : JX金属、三井金属、住友金属鉱山
● 半導体メモリ : キオクシア、SKハイニックス(韓国)、サムスン電子(韓国)
● 積層セラミックコンデンサー(MLCC) : 村田製作所、太陽誘電、TDK
● 半導体製造装置 : 東京エレクトロン、アドバンテスト、レーザーテック
「同じグループの銘柄は値動きが連動します。ただし、時間差がある。どれか1社の株価が暴落したら、まだ崩れていない同じグループの銘柄を売る。最初に崩れた銘柄を追いかけるより、後から連動する銘柄を狙うほうがリスクを抑えやすいんです」
これが、後追いショートだ。1台のゲーミングパソコンから4枚のモニターにチャートを展開し、iPadも併用。半導体関連株は、5グループ、約15銘柄を常時表示していた。
分散して空売りを仕掛け、
ボラティリティに耐える
また、資金管理もポイントだ。当初は下落の確信が強い銘柄に資金を集中して売ることもあった。しかし、現在のテーマ株は1日の値幅が非常に大きく、急騰したときに致命傷になりかねない。
そこで、短期トレードに使う資金は3~4銘柄に分散して入れるようにした。先に崩れた銘柄、次に崩れそうな銘柄を組み合わせ、セクター全体の下落を取る形に変えた。
「1銘柄に集中すると、読みが合っていても途中の踏み上げに耐えられません。複数銘柄に分散し、急落した銘柄は買い戻して利益確定。まだ下がっていない銘柄は、小さくショートで持つ。分散するようになって、利益が安定しました」
わずか1カ月半で約3500万円。
利益の大半は空売り
2026年6月から7月前半までの約1カ月半に、Bigheadさんが半導体・光関連株などの短期売買で得た利益は約3500万円。利益の大半がショートによるものだった。主な銘柄は次の通りだ。
● キオクシアホールディングス : 約900万円
● JX金属 : 約600万円
● 武蔵精密工業 : 約460万円
● フジクラ : 約440万円
● 村田製作所 : 約320万円
● 太陽誘電 : 約180万円
● 三井金属 : 約150万円
この中で、武蔵精密工業は自動車部品メーカーだが、蓄電デバイス関連の期待などからテーマ株として急騰していた。Bigheadさんは、こうした「本来の主力事業以上にテーマへの期待で買われた銘柄」は、資金が抜けると下落が速いという。
ただし、すべて勝ったわけではない。崩れる前に売ったSUMCOでは損を出した。「まだ崩れていない銘柄に先回りしすぎると負ける」という失敗も含め、先行銘柄の値崩れと5分足の形状を監視する今の手法に辿り着いた。
軍需→造船→電線→メモリー
資金は順番に異動する
Bigheadさんは、個別株だけでなく、相場全体の資金循環を見る。2026年のテーマ相場では、先に軍需関連、次いで造船が活況となった後、資金が抜けた。その後に半導体関連に移った。半導体セクター内でも資金循環があり、電線→非鉄→半導体メモリ→MLCCへと物色が移っていったと捉えている。
「大きな資金は、同じテーマの中を移りながら、順番に抜けていきます。どのグループが先に崩れ、どこがまだ生きているかを見ていると、次の売買候補が見えてきます」
7月中旬現在、半導体関連から抜けた資金は、銀行株に向かっているとみている。銀行株を新高値で買うのか、上昇が終わるまで待って空売りするのか。重要なのは「いま資金がどこに集まり、どこから離れたか」を継続的に観察することだという。
初心者は空売りより、
まず「高値で飛びつかない」こと
空売りは、損失が理論上無限に膨らむ可能性があり、買いよりも迅速な損切りが求められる。Bigheadさんも「ショートは本当に嫌な思いをする。初心者にはおすすめしない」と強調する。
むしろ個人投資家が学びやすいのは、高値圏で無理に買わないこと、テーマごとに複数銘柄をウオッチして資金の流れを見ること、損切り位置を先に決めることだ。
「新高値を抜いた初動で買えなかったのなら、上がり切ったところで『まだ間に合う』と飛びつかないことです。バブル化した相場は半値になりうると思っています。買うにしても売るにしても、リスクが小さい場所まで待つことが大切です」
ルールを決めて、冷静に相場と向き合うことが、勝率の高さに結び付くようだ。
本記事は2026年7月30日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。