「着るだけで疲れが取れる」――。そんな触れ込みのリカバリーウェアが、空前のブームになっている。ワークマンの「MEDiHEAL(メディヒール)」は、2025年9月から12月の間に319万着、55億円分を販売。TENTIAL(325A)の「BAKUNE(バクネ)」をはじめ、紳士服大手や家具・生活用品店なども相次いで参入し、市場は一気ににぎやかになった。
しかし、そもそも普通のパジャマのような服を着るだけで、なぜ「疲労回復」につながるのか。「一般医療機器」と書かれていれば、国が効果を保証したと考えていいのか。
1年以上にわたってリカバリーウェアを着続けている、繊維・アパレル業界ジャーナリストの南充浩さんは、「私自身、効いているかは正直よく分かりません」と率直に語る。ブームを生んだ制度変更と価格競争、今後の市場の行方、さらに服選びが「上質な素材」から「便利な機能」へ移った背景まで聞いた。(丸山紀一朗、ダイヤモンドZAi編集部)
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普通のパジャマに見えるのに、なぜ疲労回復?
鉱石やセラミックが練り込まれた生地が血行を促す
――そもそも「リカバリーウェア」とは、どのような服なのでしょうか?
南充浩さん(以下、南) 広い意味では、運動中の筋肉の揺れを抑える「着圧タイプ」などもリカバリーウェアに含まれます。ただ、今話題になっているのは、遠赤外線の作用によって血行を促し、疲労回復や筋肉のコリの改善を目的とするタイプです。多くは肌着、パジャマ、ルームウェアの形をしています。
生地には、鉱石やセラミックが練り込まれた糸が使用されています。体から放出される遠赤外線を吸収し、再び肌へ輻射することで血行を促す、というのが基本的な仕組みです。
――着ると、発熱肌着のようにポカポカするのですか?
南 必ずしも、はっきり温かく感じるわけではありません。私はワークマンの「MEDiHEAL」を1年以上、出張時を除いてほぼ毎晩着ていますが、湿布のような刺激も、発熱インナーのような強い温かさも感じませんでした。冷え性の人から「じんわり温かく感じる」と聞いたことはありますが、体感には個人差があります。
――では、南さん自身は疲れが取れたり、肩コリが軽くなったりしましたか?
南 肩コリや首のコリが劇的に良くなった感覚はありません。以前は原因のよく分からない倦怠感が続いていましたが、リカバリーウェアを着始めたのと同じ時期に、サプリメントを飲み、ランニングや筋トレも始めました。半年ほどたつと倦怠感は薄れましたが、何が効いたのかは切り分けられません。
リカバリーウェアは、着た瞬間に分かりやすい刺激がある商品ではありません。そのため、「効いていると思うから効いているように感じる」というプラシーボ効果が混じる可能性を指摘する声もあります。一方で、肩や腰がラクになったと感じる人もいる。私の体験だけで、効果がある、ないと決めつけることはできません。