相続税対策は、やればやるほど得とは限らない。アパート経営で空室に苦しみ、生前贈与で親子がもめる例もある。必要なのは派手な節税ではなく、資産額とリスクを見極めること。生命保険、贈与、不動産小口化商品まで、最小限で効く方法を相続のプロが解説する。頑張りすぎて損しない、相続対策の基本と注意点を押さえよう!(ダイヤモンドZAi編集部)

 「ダイヤモンドZAi」2025年10月号の「投資家のための終活大全」を基に再編集。データはすべて雑誌掲載時のもの。

必要以上の節税は
「やりすぎ」に注意!

アパート経営による節税をテーマにした漫画。相続財産の評価額を下げられると勧められた高齢女性がアパートを建てるが、数年後に空室が目立ち家賃収入が入らず困っている様子を描いている。
アパート経営は相続税対策として有効な場合もあるが、空室や家賃下落などのリスクもある。まずは本当に節税が必要か確認し、安全な対策から検討しよう。

 ムリな節税策はかえって家族トラブルや大損失を招くこともある。

 相続専門税理士の前田智子さんは、「節税対策のせいで家族がモメてしまっては本末転倒」と警鐘を鳴らす。まず、そもそも自分の資産額が節税を必要とするレベルなのか、現状を把握しよう。

 大切なのは「頑張りすぎない」こと。節税が必要な場合も、どうやって節税するのか、優先順位を検討したほうがいいだろう。

節税を検討すべき資産額は
どの程度?

 まずは、相続税の基礎控除額を計算してみよう。

相続税の基礎控除額を説明する図。基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」。配偶者と子ども2人がいる場合は4800万円、独身で子どもがおらず両親が健在の場合は4200万円まで非課税となっている。
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 計算式は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」。相続財産がこれを下回っていれば、そもそも相続税はかからない。

 金額だけでなく、財産の内容も確認しよう。たとえば資産の大半が不動産だと、すぐに売却は難しく、納税資金が足りなくなるおそれがある。

 こうしたケースでは、相続税対策を考えたほうがいいと前田さんは指摘する。