日本を代表する猛烈かつカリスマ経営者の1人だった永守重信氏が一代で築き上げた世界的モーター会社のニデック。旧社名の「日本電産」は創業当時、日本のトップ電機企業だった松下電器産業(現パナソニック)と、日本電気(NEC)から取ったように、高い志を持って創業された。それから50余年、京都の株主総会会場には2025年まで漂っていた成長への高揚感は消失。総会会場を支配したのは、永守氏からの高い要求を達成できなかったことのプレッシャーから手を染めた「会計不正」と「品質不正」のダブル不祥事への怒りの声と、引責辞任した創業者・永守重信というカリスマへの失望と懐古の声だった。
株主総会は1000人が定員の会場が満席となったため、第二会場まで設置されたほどの関心の高さ。そんなニデックの株主総会で見えてきた、不正を産んだ永守氏へ何も言えなかった企業文化や、再生の可能性についてレポートする。(ダイヤモンドZAi編集部)
「永守ファンの集い」だった株主総会が
ダブル不正の発覚で一転して上場廃止危機に
2026年のニデックの株主総会をレポートする前に、2025年までの株主総会の様子を説明しよう。2025年まではカリスマ創業者の永守重信氏による「永守独演会」だった。集まった個人株主もそれを楽しみにしている熱烈な永守ファンばかり。例えば、2024年の株主総会は、業績悪化で株価が大きく下落して不満を述べる株主がいた。だが、永守氏は「もっと成長するから心配無用。文句を言う人は株を買わないでくれ」と強弁。普通の会社なら「不誠実」批判されるような回答をしても、永守ファンの拍手喝采で盛り上がるのが2025年までのニデックの株主総会だった。
しかし、2026年の株主総会は一転、永守氏不在の総会となった。それもそのはず、2025年秋、会計不正と品質不正というダブル不正が発覚。その原因が永守氏の業績目標への度を越した部下たちへのプレッシャーだったからだ。当然、永守氏は辞任に追い込まれた。
株主総会は後を継いだ岸田光哉社長を筆頭に、経営陣全員が深々と頭を下げる「お詫び」からスタート。そもそも、株主総会でありながら不正会計の調査が長引き「決算報告ができない」という異常事態。同社の株は東証からは特別注意銘柄に指定され、上場廃止リスクをはらんだ緊張感に満ちた状態での幕開けだった。
「不正」じゃなくて「粉飾」だ!
上場廃止リスクに怯える株主も
質疑応答が始まるや否や、株主からは「経営陣のモラル」を問う厳しい追及が相次いだ。
【質問】不正会計が公になって半年以上経つのに、いまだに決算報告が出せないのは遅すぎる。それに不正は『永守さんのプレッシャーのせい』と言うが、経理マンや監査役としてのプライドはなかったのか?