米国のAIブームを牽引役として株式市場の好調が続いている。ただ、この先が気になる人は多いはずだ。そこで米国のプロ、ユリアン・ティマー氏に直撃。AIの勢いを認めつつも「永遠に続くブームはない」とユリアン・ティマー氏は主張する。配当株や欧州株、そのほか金やコモディティを組み合わせる分散投資が重要だと強調する。(ダイヤモンドZAi編集部)
AIブームはまだ続くが“異変”に備えて分散を!
半導体関連株はまだ割高ではない
フィデリティ・インベストメンツ グローバル・マクロディレクター
米国・ボストンを拠点に、世界経済と金融市場の分析を行うストラテジスト。投資業界には1985年から携わり、特にチャートを用いたマーケット分析を得意とする。
──米国、そして世界の株価の好調はまだ続くのでしょうか。
今のところ、バブルの兆候は見られません。株価上昇の裏付けとして、企業収益の改善があるからです。S&P500のPERは予想ベースで22倍ですが、十分に維持可能な水準です。
──今後の株式市場において、リスクはありませんか。
大きく3つあります。第1に、過剰なAI関連の設備投資で生産能力が過大となり、バブルが崩壊するリスクです。これは過去のインターネットブーム、さらに遡れば19世紀の米国の鉄道ブームでも起きたことです。
ただ、私はまだ問題ないとみています。というのも演算能力の需要が供給をはるかに上回り、データセンターの建設がまったく追いついていないからです。
かつてのゴールドラッシュの時には、金を掘るよりもシャベルやつるはしを売る方が儲かりました。AIブームでそれにあたるのが半導体です。マグニフィセント・セブンのPERが約30倍なのに対し、半導体関連は約20倍ですから、現時点では割高ではありません。とはいえ、注視はすべきでしょう。
拡大画像表示
S&P500は、上位10銘柄で時価総額の4割超を占める状況。うち7銘柄が「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手テック株。つまりエヌビディア、アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、テスラ、メタだ。さらに2社は半導体大手のブロードコムとマイクロン・テクノロジーで、偏りが著しい。
ブームが終わった時に分散の重要性が分かる
不安と欲が生み出す投資集中
第2は、投資集中のリスクです。今の米国市場は、マグニフィセント・セブンなど超大手の数銘柄が左右しています。それらの株価が下がれば、市場全体が下落することになります。
第3に、インフレに伴い各国の金利が上昇していることです。米国の10年債利回りは現在4.5%。一方、S&P500のPER22倍を益利回りに換算すると約4.5%となります。
米国でも世界全体でも、企業収益は20%超という力強い伸びを見せています。しかし、安全性が高い債券の利回りがさらに上がると、株式の割高感が意識される可能性があります。
──投資集中に関しては、世界の投資家に警戒感もあるのでは。
人間には、不安と欲の両方があるものです。投資家は集中リスクを懸念すると同時に、上昇に乗り遅れることを恐れ、限られた数銘柄を買い続けています。