2026年前半、AIやデータセンター関連への期待を背景に、半導体・光通信関連株が次々と急騰した。「こんな相場は、もう20年は来ないかもしれない」。そう振り返るのが、証券会社の元ディーラーで、現在は専業投資家のBigheadさんだ。上昇局面では新高値ブレイクに乗り、崩れ始めれば空売りに切り替える。2026年6月から7月前半までの約1カ月半では、半導体・光関連株の短期売買で約3500万円の利益を上げた。同じテーマの銘柄をグループで監視し、先に崩れた銘柄を合図に、まだ崩れていない“兄弟銘柄”を売る――。プロの現場で磨いた「後追いショート」の考え方を聞いた。上級者以外でも“売り方”の参考となるはずだ。(須賀彩子、ダイヤモンドZAi編集部)

Bigheadさん
Xアカウント : @0azs3u
Bigheadさん

証券会社のディーラー時代に
磨いたスキャルピング手法

 Bigheadさんは、元証券会社のディーラー。実力主義の厳しい世界において、板の動きを見ながら数秒~数分という超短期売買で小さな値幅を積み上げる、スキャルピングの手法を身につけた。

「損切りする位置を先に決め、損が出ればすぐに切る。うまく動いたときは利益を少し引っ張る。その繰り返しです。板の厚みや、買いと売りの強弱が変わる瞬間を見ます」

 メジャーSQ(株価指数先物・オプションの特別清算指数の算出日)では、寄り付き時に指数寄与度の大きい値嵩株が、一時的に大きく振れることがある。先輩ディーラーから教わって、その瞬間的な価格の歪みを狙う手法を身に付けた。10億円単位の注文を入れ、わずか10分程度で1000万円規模の利益を得たこともある。歩合報酬は月に数百万円あり、多い月には約1700万円稼ぐこともあった。

短期トレードは総資産の
2割程度にとどめる

 派手な短期売買の印象とは裏腹に、bigheadさんの資産運用は基本として守りを重視している。短期トレードは運用の中心ではなく、総資産の2割程度に抑えており、「相場が大きく動くときに取りにいく枠」という位置づけ。

 運用の中心は、TOBや資本政策に絡むイベント投資、アクティビストが買っている割安株など、下値が限定されている銘柄だ。

「とにかく負けたくない。アクティビストが保有中のバリュー株も、相場全体が下がったときに買えるよう、候補をリストにしています。材料や買い手がいる銘柄のほうが、何もない株より負けにくいと考えています」

上昇相場では
「新高値を抜いた瞬間」だけ買う

 2026年前半の半導体・AI関連株は、Bigheadさんが「20年に1度」と評するほど、相場の勢いが主導する強いモメンタム相場だった。新高値を抜くと、損を抱えた投資家がほとんどいないため、売り圧力が小さく、株価が一段高になりやすい。

「モメンタム投資で一番リスクが小さいのは、高値を抜いた直後です。そこを逃して株価が上にいってしまったら、無理に追わない。買値を割れば2~3%程度で損切りします。一方、うまくいけば20~30%利益が取れます」

 キオクシアホールディングスも、1万4000円前後の高値を抜いた局面で買い、上昇の一部を取った。ただし、株価が高値圏で乱高下し始めると、その視線は買いから売りへと移った。

 株価が上がるときはゆっくりだが、下がるときは一気に下がる。ロング(買い)よりも、ショート(空売り)のほうが値幅が大きく取れ、儲けやすいという側面もある。