雇用統計が改善すると
日本の輸出企業にはプラスに!

――先ほど株価の話が出てきましたが、雇用統計が日本株にどう影響するかを教えてください。

山本 大まかな流れを説明します。雇用統計が改善すると景気はよいと判断されます。多くの場合インフレ率も上がっていますから、FRBは過熱した景気を冷まそうとして利上げに動きます。金利上昇は一般的に株価にマイナスですから、米国株は下落します。ドル円の為替の面では高い金利の通貨が買われますから、ドル高・円安となります。そうなると、日本の輸出企業にとってはプラスに、一方で輸入の多い内需企業にとっては輸入品のコストが増加してマイナスに影響します。逆に、雇用統計が悪化するとその後の流れも逆になります。

――為替の動きが日本株に影響するのですね。

山本 ただし、米国の景気がどの局面であるかも重要です。景気が今後もまだまだ拡大するという局面であれば、政策金利が多少上がったところで景気の減速懸念にはつながらず、米国株は上昇基調を保ちます。そうなると日本株全体も連動して上昇基調となる可能性もあります。一方で、まさに現在のように政策金利が4%程度まで上がってくると、景気の減速懸念が強まってきて、先ほど説明した流れになりやすいです。言い換えれば、景気の拡大が続く利上げの初期段階と、景気がついに減速に転換する利上げの最終段階で、日米の株式相場への影響は変わってきます。

雇用統計の結果がもたらす影響の一例
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 ここまでの説明はあくまで大まかな流れです。実際はもっと多くの要素が絡んできますので、この流れにならないこともあります。また、FRBは雇用の中長期のトレンドを見て政策を決めているため、短期的な雇用統計の結果だけで金融政策が決まるわけではありません。

――直近の雇用統計の状況はどうですか?

山本 2026年10月2日に発表された9月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+2.9万人となり、8月の+13.3万人から伸びが鈍化しました。失業率は4.2%と、8月の4.1%から予想外に上昇(悪化)し、平均時給も予想外に鈍化しました。雇用の悪化懸念があると利上げはしづらく、10月の追加利上げの観測は後退しています。

 また、非農業部門雇用者数の8月の増減が+16.2万人から+13.3万人に、7月の増減がプラスからマイナスに下方修正されています。このように結果が翌月、翌々月に修正され、「雇用は実はよかった/悪かった」と後から判明するのはよくあること。こうした特徴からも、雇用統計の短期的な結果に一喜一憂するのではなく、中長期のトレンドを把握するのが重要です。

本記事は2026年10月13日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。