中長期のトレンドと
予想と結果のブレを確認すべし!

(質問)
 米国の雇用統計は重要指標と言われていますが、どこを見ればいいのでしょうか。また、日本株にはどう影響するのですか?

(答え)
 注目すべきは「非農業部門雇用者数」「失業率」「平均時給」の3つの項目です。雇用統計の改善は一般的にドル高・円安を招き、日本の輸出株にはプラスに、輸入の多い内需株にはマイナスに働きます。

 米国の中央銀行にあたるFRBは、2026年9月に利上げを決定し、政策金利を3.75%〜4%に引き上げました。利上げは約3年2カ月ぶりで、さらに年内にもう一度引き上げられるか注目が集まっています。この米国の利上げを左右する指標として市場が毎月重要視しているのが「雇用統計」。雇用統計はどのような指標で、その結果が日本株にどう影響するのか、金融情報配信会社フィスコのアナリスト・山本泰三さんに教えてもらいました。

山本 雇用統計は労働省労働統計局が米国の雇用状況を調査した指標です。毎月の第一金曜日に、前月分の結果が発表されます。この雇用統計から米国の景気のよしあしが判断できるため、世界中で注目されています。また、FRBは「雇用の最大化」と「物価の安定」の二つを使命とし、金融政策を実行しています。そのため、FRBは雇用統計を特に重要視していると考えられ、雇用統計の結果から金融政策の方向性が予測できます。

――雇用統計の中身にはさまざまな項目があります。どこを見ればいいのでしょうか?

山本 重要なのは「非農業部門雇用者数」「失業率」「平均時給」の3つです。非農業部門雇用者数は農業部門以外の産業で働く就業者の数とその増減をまとめたもの。市場から特に注目されます。景気の動きをほぼリアルタイムで表しており、雇用者数が増加傾向にあれば景気はよいと判断できます。失業率は労働力人口(16歳以上の働く意思を持った人の数)に対する失業者の割合。平均時給は農業部門以外の産業の1時間あたりの平均賃金です。失業率が低下(改善)傾向にあれば、また平均時給が上昇傾向にあれば景気はよいと判断できます。

 ただし、失業率と平均時給は景気の動きからやや遅れて反応する指標です。そのため、非農業部門雇用者数が増加しているのに失業率は上昇(悪化)している、といったようにそれぞれの指標が短期的に異なる方向に動く時もあります。ですから、毎月の結果をチェックすることに加え、3カ月や半年で3つの指標がどう動いているか、中長期のトレンドをチェックすることをおススメします。長い目でみると、だいたい同じ方向に動いていることが多いですね。

――発表日が近づくにつれ、予想値がよく取り上げられます。

山本 有名企業の決算と同様に、雇用統計の結果も市場が事前に予想しています。そして、その予想を織込んで株価も先に形成されるわけです。ですから、例えば非農業部門雇用者数が前月比でいくら大幅に増加しても、予想の範囲内なら株価はそこまで動かないことも。一方で、非農業部門雇用者数が増加予想だったのに、結果は大幅の減少だったというようなことになれば、ネガティブなサプライズとなり瞬間的に株価は大きく動きます。予想と結果のブレが短期的には注目されます。