中東情勢の緊迫が、海運・資源・素材株の業績を揺さぶっている。日本郵船、LIXIL、旭化成は、代替ルートや値上げ、原料確保で影響を抑える姿勢を示した。一方、本来は中東リスクが焦点となるENEOSと日本航空では、中東問題より不祥事への追及が相次いだ。5社の総会から、危機対応力と経営の信頼度を読み解く。(ダイヤモンドZAi編集部、写真=Adobe Stock)
中東危機で試される5銘柄
業績リスクと不祥事対応の明暗
2026年6月、米国とイランの双方が戦闘終結に向けた覚書に合意したが、なお不安定さが残る中東情勢。燃料費高騰や貨物減少が心配される日本郵船は、代替ルートの確保などで影響は限定的とした。
資材高騰などが懸念されるLIXILや旭化成も、値上げや材料確保などでリスクを抑え込むと説明し、株主を安堵させた。
一方、本来は中東情勢の影響が注目されるはずのENEOSホールディングスや日本航空は、相次ぐ不祥事で場内が紛糾。中東問題どころではない総会となった。
中東リスク下でも配当下限200円
日本郵船
海運市況の軟化や地政学リスクの上昇を背景に、今期は増収減益の予想となった。一方、曽我貴也社長は「慎重な予想のため、業績上ブレ時の増配余地は十分ある」と強調した。
質疑では、曽我社長の回答が長くなり「簡潔に答えて!」と、野次が飛ぶシーンも。しかし、わかりやすい説明と誠実な対話姿勢に、株主から感謝の声も上がった。
回答 4月以降、燃料費高騰や中東向け貨物減少といった逆風が生じており、経常利益で200億円弱の減益を想定している。ただ、喜望峰経由などの代替ルートを確保しており、現時点での影響は限定的だ。
質問 ペルシャ湾には、何隻の日本郵船の船が取り残されているのか?
回答 あまり公表していないが10隻程度が入ったままの状態だ。一企業で解決できるレベルを超えており、現在は政府主導の救出交渉に、各方面と連携して臨んでいる。
質問 同業他社の優待は金券ショップで売れたのに、日本郵船の優待(飛鳥クルーズの割引券)は売れなかった。もっと優待の魅力を高めて。
回答 売ろうとしたことに加え、弊社の優待が売れないことにダブルのショックを受けた。テクニック的なことをお伝えすると、無料で入会できる「My ASUKA CLUB」の割引と優待の併用が可能。ぜひ株主におトクに利用してもらいたい。
質問 労働力不足への対策は?AIの活用も検討しているのか。
回答 自社での人材育成に力を入れている。また、無人で動く自律運航船の実証を国内外で進めているほか、欧州の新拠点には全自動化倉庫の導入を予定している。
では、日本郵船について、プロはどのように分析するのか。
経済ジャーナリストの和島英樹さんは、「総合物流を手掛けており、海運銘柄の中でも業績に安定感がある。直近の株価指標を見ると、適性レベル。今後増配となった時に、株価水準を上げられるかが焦点」と分析する。