高配当株は、持っているだけで安心なのか。日本製鉄の減配と巨額買収、KDDIの不適切取引、NTTとセブン銀行の株価低迷、三菱UFJフィナンシャル・グループの増配――人気5社の株主総会で飛び交った厳しい質問と経営陣の回答から、数字だけでは見えない「株主還元への本気度」を読み解く。(ダイヤモンドZAi編集部、写真=Adobe Stock)
高配当だけで選んで大丈夫?
人気5社の株主総会で見えた「還元力」
人気の高配当株では、株主還元への姿勢を探る質問に注目したい。日本製鉄はUSスチールの買収費用がかさむが、下限配当を設定し還元重視を示した。
また、業績絶好調の三菱UFJフィナンシャル・グループでは、ステーブルコインの活用など、未来を見据えた対話が行われた。
対して、株価がさえないNTTやセブン銀行、子会社の不適切取引が発覚したKDDIでは株主の不満が噴出!いくら高配当であっても、不祥事防止や株価対策の行く末を見つめる、株主の目は厳しい。
減配でも下限配当を明示
日本製鉄
前期は大幅減益となり、年間配当は8円減配の24円に。しかし、これを31年3月期までの下限配当と位置づけた。2026年7月6日時点の配当利回りは4%台超となる。
例年、議長の橋本英二会長は会場中央の手前を質疑で指名する傾向があるらしく(実際、当日もかなり偏っていた)、「狙って座った」と、誇らしげに発言する株主も現れた。
回答 USスチール買収による一過性の取得費用がかさんだためだ。そんな中でも、直近5年間の累計配当性向が約30%となるレベルを意識して、24円の配当を提示した。
質問 負債が大きく増えているが、内訳を知りたい。財務の健全性に問題はないのか?
回答 USスチールの買収額と、USスチールが元々持っている有利子負債を合わせて、2026年3月期末の連結有利子負債は5兆円水準となった。しばらくはフリーキャッシュフローの赤字が予想されるが、買収後の利益貢献で回収していく。
質問 自由貿易の時代が終わったと捉えて「地産地消」の海外展開を急いでいるが、国内事業はどうなる?
回答 現時点で国内の生産規模を落とす予定はない。一強体制をさらに強固なものにしていきたい。国内の人口減少などに伴う将来的な見直しは否定できないが、研究開発の拠点は日本になると考えている。
質問 目指すべき世界標準の労働生産性とは?
回答 現在は1人あたり年約850トンの製品を作っている。しかし、韓国や中国の大手競合は1200トン。まずは1人あたり年1000トンを目標にして追いつきたい。
経済ジャーナリストの和島英樹さんは、「高関税で守られた米国内で、高級鋼板を生産できるようになるUSスチールの買収は、成功する確率が高いとみる。下限配当を設定しており、高配当株として魅力的」と分析する。